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小学生・中学生におけるスポーツ能力の発見と、トップアスリートの競技転向浪漫の虎 荒木重雄賞 佐藤峻一小学生・中学生におけるスポーツ能力の発見と、トップアスリートの競技転向
佐藤峻一 ◆背景 日本ではスポーツ実施にあたり、小学校~高校までは体育の授業が基本であり、課外活動として小学校では地域のスポーツクラブへの加入、中学校・高校では原則1つを通年で行う校内の部活動が主な機会となる。大学生になると専門性はさらに高まり、部活での「競技スポーツ」とサークル等の「エンジョイスポーツ」という「淘汰」が行われる。日本では未成年世代の潜在能力の高いアスリートの発掘は、日本スポーツ振興センターや中央競技団体、一部の都道府県を中心に測定によって行われているが、その大半は各競技団体のジュニア強化指定選手など一部の特に優れた選手のみが対象の測定に過ぎない。 また、国内トップアスリートの競技転向の例としてはスピードスケートから自転車、陸上競技からボブスレーなどが挙げられるが、これはいずれも夏の競技から冬の競技もしくはその逆という形でシーズンの異なるスポーツに転向するものであり、特に陸上競技からボブスレーへの転向は一時的なもので、いわば「片手間に」取り組まれているものである。 ◆問題提起 幼少期のスポーツとの出会い、競技の選択はあくまで住環境(両親の競技経験、家庭環境)や地域性など偶然性が高く、自分に適した(=勝てる)スポーツを選べるかは個人の運や縁に委ねられる。また、現行の部活動システムでは一旦どこかの部活に入ってしまうと、中学校や高校の在学中に他競技に適正を見つけて(もしくは新たな可能性の挑戦として)、競技を変えることはごく稀である。競技転向は「負け犬」「根性なし」と見られ、前向きに捉えられていないことがその大きな一因である。 国内でメディア露出が多く人気種目であるサッカーや野球に、優れた運動能力を持つ児童が集中し、カテゴリー別の大会が少ない現行の部活動システムでは実戦が僅少で、その才能は埋もれ、淘汰される。 ◆解決策・具体的手法 上記の背景・問題提起に向けて、1)小学生・中学生が広く受けられるスポーツ能力テストの実施 2)トップアスリートの競技転向 を進めていきたい。以下、手法を挙げる。
1)雨天時に使用のしにくい精密な測定機器を用いるため、自治体や教育委員会の協力を得て公立の小・中学校の体育館、市民体育館などの屋内スペースを借り上げ、専門的な機器を使ってスピード・俊敏性・バネ・反応力・パワー・バランス等の測定を行い、蓄積された統計を元に優れた能力/伸ばすべき能力を判定する。 ◆解決策の社会的意義 一部に限られている能力測定を一般大衆にも広げることで、伸ばすべき能力や向いているスポーツを多くの児童が知ることができ、その時点で行っている競技に留まらず広い視野でスポーツに接する機会を提供できる。幼児期の競技選択のミスマッチ減少にも繋がる。競技転向の推進は、運動能力面で高いポテンシャルを持ちながら特定種目に埋没してしまっているアスリートの可能性を広げることになり、日本では例を見ない「夏から夏へのトップアスリートの競技転向」の先駆けとなる。また、7人制ラグビーは体づくり(体格)が 15人制よりも軽視されることと、動きが比較的簡素であることから、コンパクトな練習時間とすることで、選手は日々しっかりと仕事もしながら練習もするという「デュアルキャリア」形式を取ることで、アスリートのセカンドキャリア問題の解決の一助にもなる。 ◆収益モデル ●1)スポーツ能力テスト/2)トップアスリートの競技転向共通のもの・スポーツ用品メーカーや健康食品(サプリメント等)などスポンサーによる協賛金収入 ・データ提供による日本スポーツ振興センター、大学等研究機関からの助成金 ・クラウドファンディングによる資金調達 ●1)スポーツ能力テスト ・測定会参加料(児童に多くの機会を与えるよう、小・中学生からは参加料を徴収しない) ・市町村等自治体からの補助金 ・各種競技を提示する際に斡旋する地元スポーツクラブ・スポーツチームからの仲介料 ●2)トップアスリートの競技転向(トップチーム形成を想定) ・チーム所属選手の企業への斡旋による仲介料 ・スクール事業による授業料 ・代表選手選出による、協会からの補助金 ・選手のイベント出演料・チーム独自のグッズ販売・ファンクラブ/後援会会費 |
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