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第6幕 勇者 荒木重雄・前沢賢第6幕 勇者 荒木重雄・前沢賢野球日本代表の組織化と事業化は、積年の課題(プロ・アマの有機的連動)をソリューションするところから始まる世界でも希な事例。
既存の価値から新たな価値を創出するマネジメントについて、共に球団経営再生の実績を有する両勇者から学ぶ。 1.キャリア 荒木氏はIBM、ドイツテレコムを経て、千葉ロッテマリーンズへ。PLM(Pacific League Management)の立ち上げを経て、現在の侍ジャパン事業本部長に就任。
前沢氏は、パソナ、J・坂崎マーケティングを経て、北海道日本ハムファイターズに転職。PLMへの出向、横浜DeNAベイスターズを経て現在に至る。 野球界の将来を見据え、改革に挑むお二人に、日本の野球界の今後や侍ジャパンの事業戦略について話していただいた。 2.侍ジャパンの現状 侍ジャパン事業は2013年のWBC参加問題を経て、2013年にスタートした。現在は侍ジャパンのブランドデザインを作る作業が行われている。
① 観客動員数と視聴率 プロ野球の観客動員数は徐々に増加傾向にあるものの、視聴率は減少傾向にあるが、日本シリーズは20%以上の視聴率を誇る人気コンテンツと言える。視聴者の多くは40~50歳以上であり、テレビ離れする世代にどのようにアプローチするかが課題とっている。将来の野球を考える上で、テレビだけではなく、デジタル媒体を活用し、若い世代に対し効果的に情報発信をしていく必要がある。 ② 競技者人口 競技者人口は約220万人であり、その75%を少年野球と一般成人軟式野球の競技者が占めている。野球では20~30代の指導者が少なく、未就学児を受ける体制が整っていないことが問題。今後は指導者養成に加え、競技者人口を拡大させるためにも子供たちを対象とした方策を打っていく必要がある。 ③ ファン構造 侍ジャパンのファンのベースとなっているのはプロ野球ファンである。カジュアルファンが非常に多いサッカー日本代表とは異なり、プロ野球と代表のファンがリンクしていることが一つの特徴である。そのため、今後はファーストステップとしてプロ野球ファンを活性化させ、熱量を増やしていくことで、侍ジャパンのファンを活性化しようという戦略。 3.侍ジャパンの今後 野球の競技団体は20以上の団体が存在し、乱立状態にある。まずはプロ野球だけでなく、アマチュア団体を統括する全日本野球協会と連携し、代表事業を立ち上げ、JBMC(Japan Baseball Management Committee)を設立し、権利窓口を一括し、情報共有から各種の課題取り組みまでを協働で行う仕組みを作り上げた。そして、現在は「野球日本代表『結束』、そして、『世界最強』へ」をスローガンに掲げ活動をスタート。
今後は、プロ野球の球団個別のマーケティングやNPBマーケティングや各年代の侍ジャパンの活動やマーケティングが、プロ野球ファンや競技者、カジュアルファンに影響を与え、効果が循環する仕組みを作り上げていくことが目的となる。 そのためには侍ジャパンが野球界における生産装置や向上装置、創成装置としての役割を果たさなければならない。そのための活動として権利集約による販売力や収益力の強化やアジア戦略、指導者養成に向けた取り組み、利用グラウンドの増加と効率的な予約システムの確立、野球専用のトレーニング施設の設立などを行っていく予定である。 4.質問セッション 賢者の土岐氏からは、侍ジャパンのビジョン、ミッション、戦略を実現するために、既存の関係性に上乗せすることを選択したので、これに関係するステイクホルダーや意思決定者にYESと納得させられるかが今後重要な課題になるのではないかとコメントを頂いた。さらに侍ジャパンは誰のためのものであるか?侍ジャパンの成功とは何か?という質問が行われた。
また、賢者の高橋氏からは、野球界を変えていくうえで、今後メディアとの関係性をどのように作っていくのか?野球界がブレイクスルーするために必要なことは?という質問が行われた。 受講生からは、今後の侍ジャパンの具体的な今後の戦略や代表選出に関する質問が行われ、野球談議が盛り上がった。 講師プロフィール■プロフィール
荒木重雄・前沢賢 ■主な経歴 荒木重雄 ((社) 日本野球機構 特別参与 侍ジャパン事業戦略担当) 前沢賢 ((社)日本野球機構 特別参与補佐 侍ジャパン事業戦略担当) |
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