石坂氏の夢はオリンピックに出ること。そのために中学時代はバレーボール、高校時代は陸上に取り組んだ。しかし、高校進学、大学進学とも様々な理由が重なり辞退することになり、結果オリンピック出場の夢を諦める。
　専門学校に進学し、卒業後にはスポーツクラブに就職した。オリンピック出場の夢をあきらめて目標を失っていた時期で、「このまま普通の人生を送っていく自分」に物足りなさを感じてしまう日々であった。そんな中、新たな夢として起業することを掲げる。そこから働き続ける２年間が始まり、エアロビクスのフリーのインストラクターの仕事を軸に、複数の仕事を掛け持ちして資金を貯め、２３歳で会社を設立するのであった。
　このように、オリンピック出場の夢を諦めて一時は喪失感を味わうが新たな夢を持った経緯と、その夢を叶えるために過酷な日々をいかにプラスに考えて取り組んだかということを語ってくれた。

　会社が軌道に乗ってきた頃、ビーチバレーに出合う。そこで、オリンピック出場の夢が再燃する。最初はパートナーが見つからずに苦労したが、インドアの実業団上がりの経験豊富なパートナーと組むこともできたことで、短期間で劇的成長を果たす。アメリカのアマチュア大会に参加して敗者復活戦を勝ち抜いて優勝したことが、選手選考での最後の決め手となって、アトランタ五輪の出場権を勝ち取るのであった。
　経営者としては、国際電話で海外から遠隔経営することになる。オリンピック出場という夢のためにスタジオを閉鎖することをスタッフに相談することもあったが、スタッフの理解と協力によって何とか経営していく。経営者の自分が現場にいないということから、特に組織作りと人材育成に力を入れた。
　オリンピック出場するまで資金確保の苦労や遠隔経営の難しさを語ってくれた。選手と経営者をどのようにリンクさせていたかという一例として、遠征中に情報収集したものを帰国した際にスタッフに還元するように心がけていたという話しをしてくれた。

　　経営を拡大していく上で問題になるのが人材の確保である。特に石坂氏の会社は、女性スタッフが大多数を占めるため、結婚と出産で辞めていってしまう。そこで、石坂氏は退職するスタッフを減らすために、託児ルームの設置、育児休暇と短時間勤務の導入、「子連れ勤務」の容認等、新たな仕組み作りの工夫を行ってきたと説明してくれた。
　また、２度目の五輪出場の際には、パートナーチェンジや自費での遠征等、様々な問題を抱え、さらに成績が伸び悩み、非常に辛い経験であった。しかし、この時頑張れたことが今の自信につながっていると語ってくれた。

　２度目のシドニー五輪を最後に、ビーチバレー選手を引退。もう一つの夢であったプロゴルファーへの挑戦を目指す。ロサンゼルスでの修行時代の苦労話の他に、スタッフに対するアドバイスの仕方等の遠隔経営の方法やゴルフダイジェスト連載をきっかけにして派遣事業が大きく広がった話をしてくれた。

　　人気インストラクターの出産、退職、職場でのトラブルがあり、５年間のアメリカ生活に区切りをつけて日本に帰国する。現在は、独自のビーチバレー事業を立ち上げ、ビーチバレースクールやイベントの定期開催、湘南ベルマーレのビーチイベントのプロデュース、星槎湘南大磯学園内にオープンした総合型スポーツクラブフのフィットネス部門の担当、ＷＥＢ完結型の通信講座にてダイエットなど全２０フィットネスプログラムのプロデュース等々、新しい事業展開も試みている。
　最後に、石坂氏からは、いかに時間をやりくりして確保、そして使うか、また、忙しい中でも楽しいと思う時間を作ることが大切だとタイムマネジメントの重要性を語ってくれた。

　賢者の須藤先生からは、遠隔経営時に特に気を付けていたことは何か？選手として海外で活動している時も経営者として意識していたか？という質問がされた。また、賢者の高橋先生からは、経営もスポーツ感覚で取り組んでいる印象を受けたというコメントを頂いた。
　受講生からは遠隔経営時にお客様に対して心掛けていたことは何か？という経営に関する質問や、いつから目標に向かって取り組むための心構えが重要だと考えるようになったのか？という石坂氏自身の考え方に対する質問が行われた。