【千秋楽】 山本 雅一「スポーツとアスリート」

【千秋楽】 山本 雅一「スポーツとアスリート」

生涯に渡ってトップアスリートの「今」をプロデュースし、社会的価値を創造していくマネジメントとは何か?
荻原健司や上村愛子等業界きっての所属アスリート数を誇る
(株)スポーツビズのマーケティングマネジメントに学ぶ。

【1】 アスリートマネジメントを基盤としたコンテンツメーカー

 「スポーツで価値を創造し、スポーツの価値を高め、豊かな社会に貢献すること」を使命とする、株式会社スポーツビズ代表取締役社長の山本氏からは、今後、社会の資産であるスポーツとどう向き合っていくのか、その考えが講義された。

 スポーツビズとは、アスリートマネジメントを基盤にしているコンテンツメーカーである。具体的には、マーケティング活動やコンテンツ創出、PR(広報)などはもちろん、所属選手に対しての税務や法務、コンディショニングから衣食住サポート、セカンドキャリア支援(SPN)等を包括的に行い、さらに、関連会社を設立してデータ解析や動作分析、海外移籍業務まで手掛けている。現在はアスリートのマネジメント体制を充実されるための投資を積極的に行っている。そして、スポーツ産業をマネジメントすることを目指している。


【2】 非営利法人と営利法人のダブルスタンダードの功罪とは・・・

 スポーツ産業をマネジメントする、その言葉には、スポーツが持っている価値を活用して社会課題を解決するという意味も持ち合わせる。言い換えれば「ソーシャル・スポーツマネジメント
 であり、それが今後のキーワードになると山本氏は述べた。ソーシャル・スポーツマネジメントを具現化した一例として2012年2月に開催された「FISスリースタイルスキー モーグルワールドカップin湯沢町苗場大会」を示した。
この大会は、現役選手の活躍する場の創出、湯沢町苗場の地域活性という課題、アルペンスキーヤー皆川賢太郎選手の子供達にスキーをするきかっけを作りたいと思う気持ちとその想いを叶えるために動いた大会スポンサーなど、それぞれの想いが重なり実現した。それをスポーツビズは招致し、地域を巻き込みながら運営を行ったのである。それは、民間企業ならではのスポンサーホスピタリティの充実したウィンタースポーツ大会の実現でもあった。
 このモーグルワールドカップの事例から発展して、代表的なスポーツ事業の社会貢献を受講生とともに考える時間を設けた。
・オリンピック … 国際平和
・東京マラソン … 都民の健康増進、観光客誘致、経済活性化
・まちの道場  … 地域コミュニティー、教育(しつけ)
・サッカー日本代表対Jリーグ選抜 … 東北復興支援

 これらを踏まえてソーシャル・スポーツマネジメントを「様々な社会の課題に対して、スポーツの価値によって解決に導き、更に経済活動として定着させていく事」だと定義付け、加えて
 「活動の継続性」
 「スポーツに携われる定期的な雇用の創出」
 「アスリートとスポーツの価値向上」


 この3つが定義における重要なポイントだと教示された。更に山本氏は、「スポーツ産業だけでスポーツの価値向上を考えるのではなく、他の産業とどう結びつくか、どうコラボレーションをするかが今後の発展、横の拡がりに繋がっていく  と締めくくった。


【3】 志の洗練が進化へ!

 大学を卒業したときに「スキーで飯が食いたい」という志をもってここまで歩んできた山本氏。  受講生に対して、自分の志を宣言することは難しいかもしれないが、やりたいことや興味を持っていることを深く掘り下げて志を徐々に洗練させていけば、  それは必ず進化していくとメッセージを送った。現在の自分を“志 初段”と語る山本氏は、スポーツで豊かな社会を創造していくというビジョンを掲げながら、  志を更に洗練させていく。

(文責 勇者の鼓動 僧侶 宮本佳代子)

塾長通電

 (株)スポーツビズは理念にあるように「スポーツで価値を創造」することを使命とする集団であり、コンテンツで価値を創造することが使命ではない。またスポーツにも様々な価値がある中、特にアスリートスポーツに属する価値を専門とする。この価値を如何に社会的価値へと昇華させていくかということが重要であることから、社内スタッフには必然的に「ヒトの能力を見抜き、それを数多ある社会課題とマッチングさせ、そこにひとつのビジネスモデルを構築する」という3つの能力が要求される。
 おそらくこの事業において正確に理念を具現化できる人材は、こうした人材ではないかと感じた。一歩間違えれば、ただのメディアビジネス・アイドルビジネスとも捉えられかねない業界において、真のスポーツの価値を社会的にプロデュースしていこうとする民間組織は非常に貴重である。
 スポーツにおける職域拡大を達成するマネジメントの鍵がまたひとつ見出せる大事な事例ではないかと思う。
 スポーツナレッジとビジネスナレッジの両方を兼ね備えた人材は、そうそういない。山本氏も突然起業したわけではなく、起業に至るまでには、御自身の競技(スキー)を思う存分にやり続け、一方で小さな事業から大きな事業まで自ら作り出す現場に関わり続けてきた背景がある。
 これらが融合することで起業に結び付いた。山本氏自身がよく言われるように「好きこそものの上手なれ」を文武両道・継続は力なりと掛けあわせることで山本氏のようなキャリアが形成されるということもあるのだというひとつもモデルもまた勉強できたのではないでしょうか。

勇者の鼓動 塾長 松田裕雄


講師プロフィール

■プロフィール
山本 雅一 (やまもと まさかず)
1964年9月24日生まれ
神奈川県出身

広告代理店に10年勤務。
退社後、 1996年 株式会社スポーツビズ設立。
アスリートマネジメントを基盤とした Made in JAPANの
スポーツマネジメントビジネスの構築を志している。
<主な所属 文化人・アスリート>
 ・荻原 健司 氏  (スキー ノルディック複合 五輪金メダリスト)
 ・小谷 実可子 氏 (シンクロナイズドスイミング)
 ・上村 愛子 選手 (フリースタイルスキー モーグル)
 ・太田 雄貴 選手 (フェンシング)
 総勢40名