浪漫の虎 【山本雅一賞】

浪漫の虎 【山本雅一賞】

ABC Athlete Business College

平山 健三

Elite athletes can grow to elite business person.
Athletes know there are skills that must be learned and mastered in order to win.
(選手は勝つために学び、習得しなければならないスキルがあると知っている)
Athletes have the drive, determination, and self discipline to learn them and master them.
(選手には、前進、決定し、それらを学び、マスターするための自己規律を持っている)

 21世紀に入り、グローバル化や多様化といった環境変化が進むなか、現在企業に求められる人材は変化している。多様な個性の集団の中で、より国際的な視点を持って、時にはリーダー、時にはメンバーとして、競争と協調を実践しながら困難な課題にチャレンジしていく人材がこれからは求められている。そしてこのような資質は、スポーツのハイレベルな鍛錬を通じて養うことができるものであり、競技はそのための絶好の環境である。なぜなら、スポーツは万国共通のグローバルな枠組みのなかで競っており, 選手は日々高い目標を掲げ少しでも進歩して強い相手に勝つことができるように鍛錬を重ね, その行動を通じて不屈のチャレンジ精神を形成しているからである。これは単に、運動選手は体力・精神力が鍛えられているとか、根性があるとかいう次元の話ではない。「Plan-Do-Check-Action」という「管理のサイクル」を回すというビジネスにおける業務遂行のプロセスと、スポーツにおける選手個人、あるいはチームの強化プロセスとは、
基本構造においては同じである。アスリートとして獲得したスキルは、引退後にも転用可能といわれる所以である。
 しかし知識基盤社会化が進行し、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会である現代である。また近年、企業の人的資源管理において常に高い生産性を求められている事や人材育成する余裕がなく新卒採用においても即戦力性を重視し、自ら機会を創り絶え間なく能力開発をする必要性が唄われている。
 アスリートであることのみを手がかりとしてきた彼(彼女)らは、その他の役割についての学習や模索体験が圧倒的に少ない。企業側も引退後の選手を自社の戦力として採用する際、同年齢の社員の経験(職務経験・商品知識・指揮命令技能など)に比べると明らかに劣っている者を時間をかけて育成している余裕はなく、採用選考時に将来性を判断することも容易ではない。選手には今まで学ぶ習慣も乏しく、引退後の適応問題には個々の教育レベルが関与してる研究結果もある。
 一般企業で20代後半以降の必要とされる実務経験及びスキルを身につけるには、高い教育レベルの中でどっぷりと集中して学び、知識を身体化させることと習慣を変える必要がある。
 そこで、アスリート向け全日制ビジネススクール(全寮制)を創設し、2年の修了後、企業から 戦力として評価される人材を育成する。

●授業料:200万円/年  寮費:130万円/年
●早大、グロービスなどのビジネススクールレベル
●宝塚音楽学校レベルの、躾
●全寮制にするのは、学習に集中することと、選手としてのアイデンティティからの 修正を徹底するため
●授業料などの資金は、“初職”となるチームに契約・入団時、そのチームが『基金』に
信託。移籍してもそのまま残され、最終的に「引退届」を出さなければその資金は引 き出されない。授業料と寮費としてしか使用できない(年金・退職金ではない)
基本的に選手本人の負担なし
●企業チームに所属の嘱託社員選手(実質的なプロ契約選手)については、嘱託選手契約締結時(入社時、もしくは社員雇用契約からの変更時)に企業側が授業料を『基金』に信託
●経団連・経済同友会会員企業がバックアップし、プログラム作成、講師派遣などを通じて教育するとともに、自社社内人材の技能形成の場にも活用する
●経団連・経済同友会会員企業が欲しくなるレベルの人材を育成する
修了時、経団連・経済同友会会員企業が優先的な就職先となる
●このカレッジを修了したことが、アメリカ企業の社員がMBA取得する事で承認するように、一つの価値であり、採用企業から見た保証であるレベルのものにする
●質が高い人材を安定して供給できるようになれば、人材紹介事業を持ち合わせ、優れた人材の供給を通して、カレッジが対価を得ることも可能である
●このカレッジ自体も単体にて黒字化する

社会的意義

現役選手中は、スポーツという競技や普及活動を通して、人の心や社会に貢献する。
引退後は、知識やスキルとアスリートとして積層されたコンピテンシーを掛け合わせ、
ビジネスや教育の現場で、経済的・教育的・社会的価値を自ら創出し、活躍・貢献する。

<参考事例>
リバプール大学 MBA Football Industries(フットボール経営学修士)
全日1年制 授業料17,325ポンド(約219万円) 生活費約130万円